自分で本を作る

「出版したい」商業出版、自費出版、個人出版の違いを知ることで〈技術の壁〉は乗り越えられる

2025-01-16

「本を出版したい」と思っても、多くの人が3つの大きな壁に直面します。それが、知識の壁、技術の壁、実務的な壁です。この記事では、特に「商業出版」「自費出版」「個人出版」の違いを踏まえながら、技術の壁について解説します。

技術の壁とは?

技術の壁とは、そもそも1冊分の原稿をどうやってまとめるのか、原稿を書いた後のデザインやレイアウト、誤字脱字のチェックなどに関する課題です。

1冊の原稿をまとめる難しさ

1冊の本として原稿をまとめることは、何冊も本を書いているベテラン著者でも苦労する作業です。

商業出版の場合:

  • 担当編集者とテーマや切り口を相談し、著者が構成案を作成。
  • 編集者が構成をチューニングする形でサポート。

自費出版の場合:

  • 著者が費用を負担し、編集、印刷製本、流通を出版社に委託。
  • 編集担当者がつくものの、基本的には著者の負担が大きい。

個人出版の場合:

  • 著者自身がテーマ設定から構成作成までをすべて担当。

しかし、どの方法でも、実際に原稿を書くのは著者自身の孤独な作業です。(場合によってはゴーストライターをつけることもあります)

1冊にまとめるためのコツ

  • 大きなテーマをしっかり決める
  • いくつかのパートに分ける(章立て)
  • さらに具体的な構成を決める(項目立て)

このように執筆の技術を磨くことで、1冊の原稿を完成させることができます。

原稿を書いた後のデザインとレイアウト

原稿を書き上げた後には、デザインやレイアウトの技術的な壁があります。

商業出版の場合:

  • デザイナーや組版のプロがレイアウトを担当し、書籍デザインの細かなルールに基づいて「ゲラ」を作成。

自費出版の場合:

  • デザイナーは自費出版の費用に含まれていることが多く、出版社が手配。

個人出版の場合:

  • 著者がすべてを作成するため、デザインツールの使用スキルが必要。

ここでは個人出版のハードルが最も高くなります。同人誌であれば、デザインまで自分で楽しむのが定番ですが、デザインスキルがない場合は、クラウドワーカーに依頼したり、デザインテンプレートを活用するとよいでしょう。

良いデザインのコツ

  • 専門デザイナーに依頼する
  • 書籍デザインツールの使用に慣れる
  • テンプレートを利用して手軽にデザインする

原稿の誤字脱字やファクトチェック

原稿の誤字脱字や事実確認も技術的な壁の一つです。

商業出版の場合:

  • 校閲者という専門職が誤字脱字やファクトチェックを担当。

自費出版の場合:

  • 校閲者を依頼する場合があるが、基本的には著者の自己負担。

個人出版の場合:

  • 自分で用語統一や誤字脱字のチェックを行う。

校閲・校正のプロは単なる誤植だけでなく、ファクトチェックも担当します。特急列車ミステリー小説の校正者が、列車のトリックが本当に可能かどうか、時刻表を調べるようなケースもあります。

商業出版の場合は出版社が校正者、校閲者を手配しますが、自費出版や個人出版の場合は、AIツールや校正ツールを活用して大きな誤植を防ぐことができます。

また、自分だけの用語の統一ルールを作成しておくのも有効です。

技術の壁を乗り越えるために

技術的な壁は、自分で乗り越えられるものと、プロの力やツールを借りるべきものがあります。

  • 執筆技術: テーマ設定、章立て、項目立てを意識。
  • デザイン: プロに依頼するか、テンプレートを活用する。
  • 校正: AIツールやチェックリストを活用。

体験者に聞く「技術の壁」の乗り越え方

音声入力のテクノロジーで執筆の壁をクリア

小説家やエッセイストのような上手い文章でなくても、いいのです。

美しい文章を書くことより、伝えたいことを自分中に持つ、そこが出発点です。

1歳児の子育てをしながら、自力で本を出版した馬場早織さん

限られた時間の中で、本を出すために音声入力で1日1記事をコツコツ書き溜めたのです。

プロのデザイナーに依頼することでメジャー感が

また装丁デザインは思い切って、プロのデザイナーに依頼。

鈴木成一デザイン室に依頼することで、一気にメジャー感のある装丁に。

さらに英語が楽しくなるようなイラストを使った表紙を希望していましたが、デザイナーのディレクションにより一線で活躍するイラストレーターさんに書き下ろしをお願いすることもできました。

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